Alden製 Brooks Brothersのエイジング、経年変化のご紹介です。
6年以上履いたコードバンのタッセルローファー、Brooks Brothersの品番で00030、Aldenの品番でいうと664が同等のモデルです。

Alden製と公表はされていませんが、靴好きの中では周知の事実。
現在ではBrooks BrothersはAlden製の靴の取り扱いがなく、貴重な一足です。
タッセルローファーの産みの親はAldenと言われています。
ハリウッド俳優のポール・ルーカス氏が渡英した際に、英国王が房飾り付きの靴を履いているのを目にし、帰国後NYの製靴店に「腰革の端から端に革紐を回したタッセル(房飾り)付きの靴」の作成をオーダーしたことから物語は始まります。
出来上がった靴の履き心地に満足できなかったルーカス氏はNYの別の製靴店とLAの製靴店に同じオーダーを行います。
偶然にも両店がデザインと製造を依頼したのがAldenであり、この時に出来上がったデザインが現在のタッセルローファーと言われています。
タッセルローファーは1948年には発表され、1950年にAldenの製造ラインに加えられます。
ローファーの快適さとタッセルの上品さが各地で評判になりました。
このタッセルローファーの魅力は1818年に創業し、すでに確固たる地位を築いていたBrooks Brothersの目にも止まり、同社での取り扱いが始まります。
ここからBrooks BrothersはAldenとパートナーシップを組み、自社の靴の製作をAldenに依頼するようになります。
Brooks Brothers向けのタッセルローファーに加えられたカカトの装飾(フォクシングスティッチ)は1957年には製造が開始されたようです。

本国アメリカでは、この「タッセルローファー」こそがAldenの代表モデルとして広く認知されているそうです。
こちらはオークションサイトでデットストックを発見し購入しました!
エイジングレビュー
・MATERIAL:CORDVAN
・COLOR:BLACK
・LAST:ABERDEENに近い
・OUTSOLE:SINGLE LEATHER
・SIZE:8E
・購入時期:2015年11月頃(6年選手)

公式なアナウンスはありませんが、AldenがBrooks Brothers向けに開発されたオリジナルのラストを使っているとの噂です。
アバディーンラストに近く横幅がタイトな造りです。ドレッシーな見た目になっています。
同じサイズのものを比べたことが無いので、詳細は不明ですが素人目にはアバディーンラストと大差無いように感じます。ミステリアス。
アバディーンラストの靴は7 1/2 Dのキャップトゥーを所有していましたが、どうにもタイトで履けなかったので今回は8Eにサイズを上げています。
カカトが少し抜けますが、許容範囲かなと思います。
他のラストではD widthで問題ないですが、アバディーンラストはE widthが個人的には合います。

インソールのBrooks Brothersのロゴが神々しいです。
フロント

Brooks Brothers向けには特別革質が良いコードバンを選定していると噂されますが、この靴も肉厚で革質は極上です。
モカ縫いが入るモデルです。
Aldenだと他にコインローファーやNST(Norwegian Split Toe Blucher)、タンカーブーツといった定番モデルのフロントにもあしらわれています。Aldenではこのモカ縫いは職人による手縫いで行われています。

職人の手仕事を感じさせてくれるとともに、靴に立体感と味わい深さを加えてくれます。
個人的に大好きな意匠です!
コードバンは繊維構造が牛皮とは異なるためモカ縫いが難しいと言われており、熟練の職人しか対応できない高度な技術なのです。
2018年頃にラコタの店員さんに聞いたところコードバンのモカ縫いに対応できる職人は4名のみ!
技術の伝承で手縫いのモカ縫いモデルが今後も継続されることを願います。
サイド


ポール・ルーカス氏のリクエストである“腰革の端から端に革紐を回したタッセル(房飾り)”。革紐がしっかりと付いています。
誕生から70年以上経ったタッセルローファー。今もなお輝き続け、様々なブランドからタッセル付きの靴が販売され、世界中の靴好きに愛されています。
フォクシングスティッチの立体感も伝わるかと思います。存在感あります。
カカトにも職人の手仕事。うーん、贅沢。
バック

カカトはアバデーィンラストにならって小ぶり。ただE widthなのでそこまで小さいとは感じません。

フォックシングスティッチのモコモコのモコのモカ縫いをアップで。
昨今は他ブランドとのコラボでも見かけるようになりましたが、オリジンであるBrooks Brothersのタッセルローファーには男のロマンが加点されています。
ソール

購入時はオールデンの多くの黒靴のレザーソール同様に真っ黒でしたが、すっかり削れてきてます。
たくさん履いている証ですね。
まとめ
希少性が高く、男心くすぐるストーリー満載の一足です。
ローファーではありますが、ドレッシーな印象を与えてくれる一足でもありスーツに合わせることがほ多いです。上品に決まりますし、洒落者を演出してくれます。
スーツスタイルでのローファーを敬遠される方もいらっしゃいますが、タッセルローファーの出自は英国王が履いていた一足を模倣したものです。
このあたりの歴史を知るとかしこまったシーン以外でのスーツスタイルには十分合わせられるかと思います。

何の写真やねん!というのはさておき…デニムでカジュアルダウンしたジャケットスタイルにもバッチリです。

これからも大事に履いていきます。
現在、所有するAldenの一覧はこちら。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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